東アジアブログ

海外で働く20代

長時間労働について海外から考える

海外に来る前は、外国人はあんまり遅くまで働かず、心をすり減らす人間関係の軋轢もなく、有給消化率100%、プライベートを大事にすることを尊重している、そんな漠然とした外資系企業に対するイメージのようなものを持っていました。

 

実際はどうだったか。

 

主観ですが、外国人も結構ハードワークをしている人はしています。

夜遅くにメールが飛んできたりすることもあります。

ただ概ね冒頭のイメージはあっていました。

 

会社が期待する働き方についてはこちらで触れましたが、

bamutani.hatenablog.com

 

これとは別に日本人を長時間労働へ陥れている事柄について考えてみた。

 

1. ダラダラ働く

まず香港人や欧米人と一緒に働いて圧倒的に感じた働き方の違いはこれ。

日本人はダラダラ働くなーと。

例えば日本だったら客先で打合せなんかすると、無駄話やその打合せで決めなくていいことなど色々ダラダラと話しきっちり1時間消費するといった打合せが多かったですが、海外の場合は時間の価値が日本より高いのか、不要なことは話をしません。

アイスブレイクの世間話、身の上話は無く、「僕たちは今こういうことに困ってて君たち何かできる?ある?それいいね、いくらくらいなの?見積もり頂戴。何が必要な情報なの?すぐ出すよ。ありがとう、じゃあ返信待ってる。今日できる?」と用件だけ一方的に話をされ15分とか20分で終わります。

訪問よりはテレカンでいい?って話にはよくなりますし、案件を前に進めるための質問は頻繁に電話、メールしてきますし、します。

 

日本で働いていた時は、お客様のお手間を煩わせないために質問がある場合は関係部署にそれぞれ確認をして、なるべく最低限のやりとりでQAをするのがスマートな気がしてましたが、それに時間がかかって対応が遅くなるようであれば、全く本質的ではないですよね..

 

何か確認事項がある場合はすぐ電話、もしくはWhat's APPでメッセージを送って確認してます。いきなり会ったこともない、メールでしか知らない人にSNSでメッセージ送っても普通に返信がきます。初めての人に電話するときも、長ったらしい「誰々の紹介で電話しまして、こういうお客さんでこういう案件があってこういうことをしたくてこういう提案できませんか?じゃあまずは1度ご挨拶を兼ねて打合せしましょう。」こんなやり取りはありません。

 

「この見積もりが欲しいんだけど、数量、必要要件はこれ、見積もり送ってねー。」で終わり。ですぐ見積もりきます。

 

いきなりテキストで失礼とか全然ありませんし、”確認することに躊躇して自分の中で溜め込む”という無駄な時間/ストレスがありません。

 

日本人が”ダラダラ働いている”というよりは、暗黙のルール(だと信じ込んでいる)やマナー(ということになっている)といった目的遂行のためのハードル、障害が何重にも働く人の目の前にあることが一つの作業を行う上で時間を要し、心理的にストレスになっているのではと思いました。

 

2. お客さん自身が正解を持っていない

金融のお客さんなんかは顕著に表れますが、基本的に丸投げ体質です。

丸投げ体質のくせに検討プロセスは長く、じっくり検討します。

 

つまり何が起こっているかというと、何のアイデア、方向性も示せないお客様のために、明らかに不要な松竹梅の提案書を作ります。

 

お客様はそれを元に社内検討プロセスを進めますが、深く検討するので、明らかにそれはないだろって案や決裁権者までいく最後の最後まで全案を確認しながら検討を進めるので割と工数使って確認しないといけず無駄な労働が多くなってしまいます。

しかもどうでもいい案件にも調達を真面目にするので、何度も価格交渉、見積もりの出し直しなど時間がさらに取られてしまいます。

 

さらに、タチの悪いことに日本企業はトップダウンではなくボトムアップです。

決裁権のない人がプロジェクトを進めているので、決裁権者の一言でプロジェクトが終わったり、担当がいけてないと、全然ダメじゃんってことになって案件自体消失してしまいます。そしてそれは提案の中盤~終盤にも平気で発生します。

 

これこそが長時間労働の元凶なのでは!?!?と、昨年電通の不幸な事件が電通の長時間労働(+パワハラ)が明るみに出ましたが、電通の強みはお客様の要望に対するスピード、無茶なスケジュール、要求に対しても全力で回答してくる驚異的な営業力と、インターネット上ではよく見かけましたが、まさにこれだ。と。

何がしたいかよくわかっていないお客さんのために、一からドラフト案を何パターンも持っていき、詳細な要件もなく、もっと良いの無いの?部長がこれはダメだっていってるから何とかして?明日までに出さないと間に合わないよ。ごめん、来月に延期になった..

 

外資系企業はやりたいことが明確です。そのため、こちら側もベンダーに対して曖昧なことを言うと、SOWは何だ、お客さんは何がしたいんだ。まずはお客さんの要件をもっと聞いてくれと言われます。

明確じゃない場合も当然あります。その場合であっても、いくつかパターン、メリットデメリットを口頭やメールで説明すれば”じゃあこの方針でお願い”とすぐ決めてくれます。

 

外資

「コストカットしたいけどクラウドとオンプレどっちにしようか」、『中長期の金額だけみたらクラウドの方が高くなりますよ。』「じゃあ今回はオンプレで提案して」『了解っす』

 

日本

「コストカットしたいけどクラウドとオンプレどっちにしようか」、『中長期の金額だけみたらクラウドの方が高くなりますよ。』「一応両パターンで見積もりもらえる?」『費用算出しました。』「このクラウドの場合、うちのアプリケーションって対応してるの?オラクルはどうすればいいの..etc」

~2ヶ月後~

 「オンプレミスで今回は提案して」

 

ダメだ、 想像しただけで働きたくない..

 

その代わり外資の方がプロフェッショナリティを求めてくるので、厳しいですけどね。

即レスできることが信頼醸成に繋がりますし、外資は一度発注先決めたらそう何度もいろんな所に声かけないですからね。信頼されればずっと営業頑張ってなくてもお客さんから依頼してくれます。

 

ITの世界でSIerというビジネスが日本で流行っているのと、アメリカでは自社でIT人材抱えてる、メーカーが割と直販してるってのはこういう仕事のやり方の違いからなんでしょうね。